海野しぶきブログ 親二人、無事に見送りました

アルツハイマーでゆっくり逝った義母といろんな病気で慌てて逝った義父の介護備忘録

ひきこもりの娘が、認知症末期の祖母と3年ぶりに対面しました 〈元の記事は2017/07/23〉

前回の続きです。

【こちらが前回の記事です↓】

わが家のひきこもり娘がターミナルケアのおばあちゃんを見舞うと決心しました 〈元の記事は2017/07/22〉 - 親二人、無事に見送りました

その日に起こった急な展開は私も予想していないことだったので、私が一旦家を離れ、義父宅(自宅から徒歩2分の賃貸マンション)に行ったことは、ちょうどいいクールダウンになりました。

義父宅での用事はすぐに済みましたが、あえてそのまま夫にラインしてこの事態を報告したりして、娘と家を出発すると決めた12時半になってから戻りました。

予定では、ひと眠りして12時に起きた娘が、したくを終わらせているはず…。

ですが、私が玄関のドアを開けると犬が吠えるので、その『ガチャッ、ワワワワワン!』を聞いて、ようやく娘が起きる、という結果となりました。ガクッ。

ま、こんなもんですよね…。

(想定内、想定内。)と気持ちを切り替え、出発時間を30分遅らせることにして、娘の服選びを手伝いました。

そうこうしているうちに、先ほど夫にしたラインの返事が。
「お疲れ様です。行かなきゃいけないことは分かってるけど、実際に行くのは怖いんだよね。俺と一緒。」
「実際に今の状態のおかあさんを見たらショックだろうね。」
「さて、どうなるかな。」

そう!そうなんだよね〜、わかっているけど怖くて行けなかったんだよね〜。
でも、これがラストチャンスかもしれないって、娘も感じたから、頑張ってくれたんでしょう!
なんとか自分から動き出しているので、お見舞いに行く気持ちは固まっているんです。
ホントにホントに、頑張ってくれています。


さて。
こうして無事に午後1時過ぎ、家を出ることができました。

施設に到着すると、施設長さんがおとうさんの様子を気にしてくださって、まだ入院中だと伝えると、かなり驚いていました。
看取りの時期のおかあさんのこともあるので、ケアマネ始めスタッフ全員でおとうさんの情報も共有してくださるとのことで、ありがたい話です。

手洗い、うがいを済ませ、いざおかあさんのお部屋へ。
娘は私の後ろに付いてきましたが、お部屋に入るなり泣いてしまいました。

びっくりしたんでしょうね〜。

元気だったころの面影もなく、小さくやせ細って、意識もなく、目も開かず、命の火の消えかけた人を見たら、それはショックですよね。

私だって平気なフリしているだけなんですから。

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娘、しばらくは近づくこともできませんでしたが、私がおかあさんの耳元で大きな声を出して、私と娘が来たことを言うと、なんとなく反応がある感じがするのを見て、ベッドの横にきました。

私が

「今おばあちゃん、眉毛動かして、そうなの?みたいな顔したよねー?」
と言うと、娘も真剣に頷いています。

お部屋には、義母が入居した頃の孫たちの写真が飾ってあります。
娘はまだ小学生でしたから、顔付きが今と全然違ってて…。
一緒に写真に映っているいとこたちも、もう社会人と大学生ですので、7年の月日の流れを感じてしまいました。

義母は、粘膜が弱くなっているのか、くちびるに少し血がにじんでいたので、私が持っていた透明のリップクリームを指にとって、指先で優しく塗りました。

塗っていくと、くちびるの血色が良くなって、
「あらおかあさん、かわいい!」
と言うと、明らかに嬉しそうな笑顔を見せたおかあさん。

娘も「あ!」と声を出して、
「今笑ったね!」と2人で笑い合いました。

「やっぱり女の人は、いくつになっても、かわいい、って言われたら嬉しいよね〜。」
と私がおかあさんの頭をなでなで。


そして、
「お布団の上からでいいから、ママの手と一緒におばあちゃんのお腹の上に手を置いて、心の中で“ありがとう”ってお別れを言ってね。」
と言いました。

娘は自分から積極的にはできませんが、私が手を取っても嫌がらず、そっと布団に手を置きました。

お母さんのからだは、2週間前に会った時よりさらにちょっと痩せたよう。
布団の中にあるはずなのに、手をしずめてもしずめてもからだに触れませんでした。

娘はまた泣いていて、私も涙が出ましたが、義母の耳元で
「また来るからね!おとうさんもうすぐ退院だから待っててね!」
と言うと、なんと目を開けてくれました。

娘も驚きの表情で
「右目だけで左は閉じたままだったけど、最初はあっちの方で、だんだんこっちの方を見た。」
と説明してくれました。

意識があるわけではないので、こちらを認識している表情とは違うのですが、目の開いた顔を見せてくれて、本当に嬉しかったです。

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この時の娘、3歳の子みたいな反応ですけど、17歳です。
繊細で、感受性の豊かなひきこもりの娘が、最大限に勇気をふり絞って来てくれたこのお見舞い。
彼女にとって、意味のあるものになっていたらいいなぁと思います。